2004.3.6~7
賀茂泉酒造醸造体験実習
 

広島の西条駅を降りると、つい顔がほころんでしまった。
噂には聞いていたが、本当に酒蔵だらけの街だった。駅から、酒蔵のシンボルである煉瓦造りの煙突が、
しかも大きな文字で銘柄が書かれたのが、ニョキニョキと林立していた。

少し歩くと、狭い路地のような通りを挟んで、軒先が触れあうほどの距離に、蔵が隣り合っている。
そして、蔵それぞれの建物が、酒蔵の街にふさわしい、実に趣のある建物ばかり。景観を損ねないように、
酒蔵だけでなく、他の建物も、酒蔵風のデザインになっているものがあった。素晴らしい徹底ぶりである。
灘や伏見でも、ここまで酒蔵が密集していない。どちらも、大手蔵は、景観を無視した巨大な工場施設が
平気で建てられている。それと比較すると、西条という街のこだわりが、好ましく思え、好きになった。

さて、今年の実習は、賀茂泉酒造である。
賀茂泉のお酒は、純米にこだわりを持ち、ぬる燗で本領発揮するお酒と聞いていたので、私好みだが、
実際まともに飲んだ記憶がない。購入してまで飲んだことがなかったから。

6日朝8時、総勢8人+1人(世話人の方)で、延寿蔵に入る。ここは朝甑なので、まずは蒸し米取り。
蔵人たちの動きを見て、蒸し米取りの手伝いをしようと身体が疼いたが、ここは団体行動を乱しては
まずいと、我慢する。しばらくして、やはり蒸し米を木桶に入れて、もと場まで運ぶ作業に入る。
もともと蔵人が多かったこともあり、私たち男5人が加わって、作業はすぐに終わった。
ちなみにこの日の蒸し米は、普通酒用で、高温糖化もとに添える米とのこと。どうりで冷まさずに、
粗熱を取る程度で、もとタンクに入れていったはずである。

次の作業は、麹室にて出麹と、次の麹の盛りの作業。
麹室に入る前に、入り口の手洗い場で、つい先に手を洗ってアルコール消毒をしてしまったが、蔵人
(実は社長の息子さん)が説明する前だった。勝手なやつだと思われただろう(実際、その日の夜の
宴会で「やな客が来たなあと思った」と言われた・・・)。
麹室の中は、壁が総ステンレス、床は床暖房が入っていて、温度管理が完璧な室だった。しかも広い!
Tシャツ1枚になって、床(床麹方式なので)の麹をほぐして、出麹用の箱に入れる。けっこう腰に
来るが、まだ楽な方だと思った。
次の麹の盛りの作業が、実はけっこう体力を使った。箱に入った麹を、業務用の寸胴のようなもので
何杯も掬い、床半分に広げていく。均等に分けるから、ひとつの床に何杯と決まっており、数えながら
作業をするのが、意外と難しかった。8人で交代で作業したので、さらに効率が悪く、麹室の若手蔵人
が、苛々しながら見ているのが気になった。

次は分析の作業。ここで賀茂泉の杜氏(おやっさん)が登場した。
毎日、仕込んだ醪を濾過して、酸度・日本酒度・アルコール度数を分析する作業。非常に地道で、
理科の実験道具を駆使できないと、なかなかに慣れなくて難しい作業だった。自分も酸度を計る手順
をやってみたが、慣れない道具ばかりで緊張して、時間がかかってしまった。これなら、蒸し米取り
や、麹の作業の方がはるかに楽である(他の蔵でも経験があるだけに)。

昼食の休憩の後、この日の午後の作業はほとんどないとのことで、息子さんの車で西条の北にある
竜王山へ連れて行ってもらう。時折吹雪が舞う、寒い山の中に立ち、息子さんが説明してくれた。

西条の蔵元が発起人となり、西条の水と環境を保全することを目的とした「西条・山と水の環境機構」
が発足。その活動のひとつとして、ここ竜王山の森林保全作業をしているとのこと。
(詳しくは、西条・山と水の環境機構ホームページ wwwa.kamon.ne.jp/~yamamizuまで)

そしてその後は、せっかくだからということで、特別行政法人 酒類総合研究所を見に行った。
西条の南の街はずれ、広島大学の敷地の一部に、かの有名な研究所があった。土曜日なので、施設の
中へは入れなかったが、今も研修している人が数カ月泊まり込んで研究しているという。

蔵に戻り、しぼりの一部を見学して(袋掛けだったので、作業させてもらえなかった)、部屋で
杜氏(おやっさん)のお話を聞いて、この日の作業は終了。1時間休憩の後、蔵元本宅にて、社長を
はじめ皆さんとの懇親会(宴会)。お酒はもちろん賀茂泉、大吟醸から純米や古酒の燗まで、本当に
美味しいひとときだった。料理が、社長と専務の奥様方の手作りだと聞いて、さらに感激した。

宴会の二次会は、専務と息子さんに連れられて、広島名物お好み焼きを食べさせてくれるお店へ。
しかし、お好みそっちのけで、息子さんと熱いアツイ談義に花を咲かせることしばし。私は途中で
専務と抜けたが、一部の人はさらに熱い談義に突入していった。そして、その夜は前日に続き、深夜
まで宿でも熱い談義が続いたのだった・・・(連日寝不足)。

翌日(7日)は、賀茂泉の蔵開放の日でもあり、作業は午前10時までの2時間。
蒸し米取りと、麹室での作業のみで終了した。あとは、一般客になって、蔵開放のイベントを楽しんで
大阪への帰路についた。
 
 

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